HAREM[ハレム]:ヤングアニマル ハレム

vol.64 好評配信中!
毎月29日配信

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スペシャル

エロスな電子雑誌「ハレム」新創刊記念インタビュー第1弾!
『この愛は、異端。』森山絵凪先生

 

この愛は、異端


2018年11月29日、エロスな電子雑誌「ハレム」が誕生いたしました。
背徳な性愛、歪つな純愛、めくるめくエロスの世界――抱くテーマはこちら。
創刊第1号の表紙と巻頭を務めてくださったのが、悪魔と少女の歪な官能譚『この愛は、異端。』でいま大ブレイク中の森山絵凪先生です。
今回は「ハレム」創刊と『異端』新シリーズ「ベリアル文書」開始を記念して、森山絵凪先生に創作について、そしてエロスについて伺いました。
めくるめく『異端』の世界の始まりとこれからをご覧あれ――。


――森山先生、インタビューよろしくお願いします! さていよいよ『この愛は、異端。』待望の新シリーズがスタートしました。「ベリアル文書」はどのようなお話ですか?

森山 本編は20歳のよしのとバアル(ベリアル)のお話でしたが、このお話は18歳のよしのとバアルの過去編となります。そして本編ではよしの目線のストーリーだった事に対しこのベリアル文書ではバアル目線のお話となります。
バアルが当時どんな事を考えていたか、陰でどんな事をしていたか等が見所ではないかなと思います。

――『この愛は、異端。』の連載はどのように始まったのですか? 着想や連載開始のころの思い出などお教えいただけますか?

森山 これは第3巻のあとがきでも触れましたが、子供の頃に悪魔と少女の異類婚姻譚(と復讐とバトルもの)の話を構想していて、異端はそれを元にテーマを愛のみに絞った作品でした。
小さな頃から異類婚姻譚ものは好きだったのですが、確か当時は安倍晴明の母親である葛の葉の話を知って異類婚姻譚ものに再び火がつき、人外と人間の話を描こうとしていたんだと思います。
最初は人外を狐や日本の妖怪にしようと思っていたのですが当時は妖怪物が世に溢れていて、他人と同じじゃつまらないなぁと思い西洋の悪魔にしたんだと思います。
もともとカトリックの病院で生まれ、カトリックの幼稚園で育ったもので神や悪魔に対しては何か身近なものを感じていたというのもありました。
異端を描く時に悪魔について再び調べたのですが、悪魔が人間に取り憑いた事例などを見るとその人間に対して恐ろしいまでの執着をしているんですよね。狙った獲物は絶対逃さないというか。で、その執着を向ける相手に悪魔が感情を持ってしまったら…?と考えるうちに、バアルというキャラクターが出来上がっていきました。

異端は前作モンテ・クリスト伯爵の連載時に、ストレスの吐け口として一心不乱に最初から最後までネームを描き上げたものでした。
世に出すつもりなど全くなかったのですがなんとなく良い出来な気がしてきて、とりあえず当時の担当編集に見て貰おうと思い立ち、単行本にすると3巻半~4巻分の大量のネームを持って行ったんです。そして担当氏にこれをどうしたいのかと聞かれ答えに戸惑っていると、「これを連載したいのか」と質問され、思わず「はい」と答えたのが異端が連載するきっかけでした。
ですが新人の初のオリジナル連載なので打ち切りになる可能性がありました。なので打ち切りになってもいいように最初から全2巻に纏めようという事になり、ネームを全て2巻分に描き直しました。しかし全2巻では展開が早すぎるのでやはり3巻にして欲しいと思っていたところ担当氏が変わり、第1話と第2話のアンケート結果が良かったら全3巻まで延ばすというお話を頂き、その結果異端は3巻まで出せる事になりました。そして再びネームを3巻分に描き直しながらの連載、というのが連載開始の頃の思い出ですね。

――バアルと淑乃の関係は残酷でシリアスだったり、かみ合わない会話がコミカルだったり、そしてかなりエッチだったりと、ふたりの関係に色んな面があるのも本作の魅力だと思います。先生がふたりの関係を描く際に意識している点をお教えいただけますか?

森山 キャラクターを一個人として考えた時にそれぞれの考え方が違う事を踏まえ、よしのだったらバアルの言葉に対してこのような反応をするだろうな、バアルだったらこんな返しをするだろう、という感じでこの2人にとっての自然な会話になるように考えています。
あとはやはり捕食者と被食者という関係ですので2人の関係が甘くなりすぎないようには意識しています。

――森山先生にはぜひ絵の魅力、迫力、美しさのお話を伺いたいのですが、絵に対するこだわりや、どのようにしてこれほどの絵を描けるようになったのかなど、お聞かせ願えますか?

森山 そこまでお褒め頂き恐縮です。
物心つく前からずっと鉛筆を握って絵を描いていたらしくその積み重ねで何とかここまで来たという感じです。
絵に対するこだわりと言えばキャラクターの表情です。できる限り言葉ではなく表情で情感を伝えられたらな、と常に模索して描いています。
あとは出来ているかは別として、人体や物の重みや質感等が感じられる絵にしたいと思って描いています。
単純にこだわっているものと言えばよしのの胸の柔らかさと流れるような髪の毛の美しさとかですね。見ている人が触りたくなるような表現が出来ていたらと思います。

――『この愛は、異端。』で森山先生が一番大切にしていること、気にして描いていることは何でしょうか?

森山 種族の違いによる考え方の相違は大切に描いています。
人間同士の男女でも考え方や生き方が全て違うのに、ましてや悪魔と人間ではお互い譲れない価値観があると思うのです。
その価値観を壊す程の感情とは何なのか。それこそがこの作品のテーマですし、1番大切に描いている事だと思います。
そしてファンタジーという虚構の世界だからこそできる限り登場人物の感情に嘘がないように突き詰めて考えたり、読んだ人にリアルに感じて貰えるように気を付けて描いています。

――読者さんからの感想はどんなものが多いですか?

森山 Twitterやお手紙で皆様色々な感想を下さりますが、何度も読み返しています、と感想を頂く事が多いです。それから2人の関係性や心理描写が好きだと言ってもらえたりもします。個々のキャラクターのこんな所が好きだとか、このシーンが好きだとかのお言葉もよく頂きますね。自分では意識していなかった部分に気付かされたりもしますし、温かいお言葉が多くどの感想も大変励みになっております。

――新創刊「ハレム」はエロスをテーマにした電子雑誌です。森山先生にとって「エロス」を感じるマンガ、エンタメとは、どういうものでしょうか?

森山 直接的な性描写や視覚を刺激する女の子の絵、特定のシチュエーションなんかにももちろんエロスを感じますが、自分にとっては禁忌や不可侵領域を侵す瞬間を描いたものに一番エロスを感じるかもしれません。もしくはその対象に触れたいのに触れられない瞬間だとか。
まさしくバアルにとってのよしのは自分が汚したい存在だけれど触れてはならない聖域でもあります。そこに触れるか触れないかの一瞬、ためらい、感情の動き、衝動…そんなところが自分にとってのエロスを感じる瞬間であり、表現したいエロスでもあります。

――では最後に『この愛は、異端。』ファンの皆様へメッセージお願いいたします!

森山 もともとはただ好きで描いていた異端でしたが回を重ねるうちにそれだけではなくなり、読んで下さる読者の皆様の為に描くようになっていったと思います。
異端を読んでいる時は現実の辛い事とか吹き飛んでくれたらいいなとか、ただただそんな思いで描いていました。
そして連載中はどうしても〆切などキツく辛いことも多いのですが、読者の皆様が応援して支えて下さるからこそ第1部を最後まで描き上げることができたのだと思っています。
これから始まる異端の第2部やこうしてハレムでの番外編のお話をいただけたのも、ひとえに皆様の応援あってこそです。
本当にどうもありがとうございます!
そしてこれからも精進して参りますので、どうか異端を引き続き応援して下さったらと思っています。



森山先生、ありがとうございました!
インタビュー第2弾は『ナナとカオル』甘詰留太先生――2018年12月6日(木)公開予定です。

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