エロスな電子雑誌「ハレム」新創刊記念インタビュー第3弾!
『うそつきパラドクス』きづきあきら先生+サトウナンキ先生
エロスな電子雑誌「ハレム」において、創刊第1号から2本立てで掲載してくださったのが、本気と浮気の禁断のオフィスラブを描いた『うそつきパラドクス』で人気のきづきあきら先生+サトウナンキ先生です。
「ハレム」創刊記念インタビュー第3弾は、『うそつきパラドクス』続編復活連載をスタートしました両先生に創作について、そしてエロスについて伺いました。
めくるめく『うそパラ』の世界の成り立ちをご覧あれ――。
――あの『うそパラ』がついに新シリーズ開始です! コミックス全10巻分、2009年4月~2012年4月に連載していました。久々の栖佑さん、八日堂を描かれていかがでしたでしょうか?
きづき まず連載開始から10年というのに衝撃が(笑)。今でも話題にしてもらえることが多くて、サイン色紙にキャラを描いたり。なのでそんなに遠くにいた感じはしないですね。八日堂と栖佑さんは私の中で一番好きな見た目なんです。黒髪メガネで一般的にはフラれる方の見た目の八日堂を勝たせたいという私の性癖で(笑)。栖佑さんもおっぱいが大きくて優しい感じのポヤンとした子が大好きで、『涼宮ハルヒの憂鬱』のみくるちゃんとか、『けいおん!』の紬ちゃんとか、『めぞん一刻』の響子さんとか。だから久々に絵を描く時も違和感はなかったです。でもお話づくりは感覚を取り戻すのに苦労しますね……。
――「黒髪メガネ」がお好きとなると、完全にナンキ先生の見た目ですね。
ナンキ いやいや(笑)。
きづき そういう風になったのは高校の漫研でサトウに貸してもらった漫画の影響なんですよ。永野のりこ先生の『みすて♡ないでデイジー』を読んで「ああ~これだ私の好きなのは!」と(笑)。
ナンキ 主人公(歩野零二郎)が黒髪メガネでマッド・サイエンティストで、執拗に女の子を追いかけ回すんですけど(笑)。
――ナンキ先生は高校時代にきづき先生に、自分と似たキャラの漫画を紹介してまんまとそういう性癖を植え付けることに成功したのですね!
ナンキ そういう風には思ってなかったですけど(笑)。
――久々の『うそパラ』の話づくりはいかがですか?
ナンキ まずちゃんと思い出すために1話から全部読み直して続編に挑みました。でもこれまでのことを盛り込みすぎても、とも思うので話は思い出しつつフラットに恋愛ものをやろうという気持ちです。
――新シリーズはどんなお話になるのでしょうか? 一番の見どころは?
きづき 『うそパラ』は結構ドロドロしていたので、はじめは今回もドロドロしなきゃいけないと思い込んでいてそんなネームを書いたんですけど、「こういう方向じゃないほうが」となりまして。
ナンキ また新しいドロドロ三角関係が…ではなく、八日堂と栖佑さんのイチャイチャが見たいということだったので。
きづき それを徹底的にやりましょうとなりましたね。
ナンキ これは僕達のやり方としては挑戦です。いつもは毎話ラストで引きを作って…という感じなのですが、今回は引きを作らないスタイルです。いつかやってみたいと思っていた連載の形なのでしっかりできたらなと思ってます。
――新シリーズの八日堂や栖佑さんはどういう状況からスタートですか?
ナンキ 前のシリーズの最終話の直後、ふたりが付き合うことになったばかりの状況です。これから「本当の恋人」になるぞという段階ですね。
きづき ハッピーエンドの「その先」を描くというのは、なかなかない機会なので私達も楽しみです。八日堂と栖佑さんのバカップルぶりが見どころです(笑)。
ナンキ 浮気してた頃よりトーンダウンしないようにしたいですね。ふたりはようやくちゃんと付き合えたわけですから、好きな気持ちが爆発するようにつくれたらなと思ってます。
――『うそパラ』で人気のエッチシーンについても伺えますか?
きづき 私はエッチシーンを描くのが好きなので、やましいことのない八日堂と栖佑さんのエッチシーンを楽しく描けて嬉しいです(笑)。
ナンキ 毎回、工夫のある新しいエッチシーンを楽しんでもらえるように色々考えたいと思います。
きづき エッチシーンとお話の盛り上がりが重なるように心がけています。アクション漫画でもドラマの盛り上がるところにバトルが来るのが面白いと思うんですが、エッチ漫画も同じだと思うので、エッチシーンがあることでキャラの感情的なつながりが見えるようにしたいなと思っています。あとはおっぱいをとにかく柔らかそうに、触りたくなるように、と。エッチシーンの表情も女の子はより可愛く見えるように、男の人は気持ちよさそうに見えるように、というところを気をつけてます。
ナンキ 興奮が同じトーンにならないようにも気をつけています。最初の表情より次の表情のほうがより強く…といった強弱をつけるようにしています。
きづき サトウは表情の直しをすごく細かく入れてくるんですよ。「ここは、いま入った!ってわかるように」とか(笑)。
ナンキ フフフ(笑)。
――『うそパラ』で大事にしているテーマなどございますか?
きづき 前のシリーズの第1話のときにふたりで決めたんですけど、当時たまたま通りがかった歓楽街にあった看板に書いてあった「男に生まれてよかった!」というキャッチコピーですね(笑)。『うそパラ』を読んでもらって八日堂の恋愛やエッチを追体験してもらって、こう思ってもらいたいなと。八日堂にもこう思ってもらいたいなと。
ナンキ それを常に忘れずにいます(笑)。それから前のシリーズでは女性の読者さんもたくさんついてくださっています。男性だけでなく女性も共感してくれる部分がある漫画にできたので、そこも忘れずに意識していきたいですね。
――女性読者から見ると栖佑さんってどうなんでしょうか?
きづき それは私にもわかんないんですよね。私は八日堂に感情移入して男目線で描いていて、全力で「栖佑さんをどうしてやろうか」という気持ちで描いてますから(笑)。
ナンキ 女性読者さんからは、八日堂や大桑への感想のほうが目立ちましたね。栖佑さん目線で読んでくれたということでしょうか。
――『うそパラ』の話はこれまでどのように考えていたのですか?
ナンキ 担当さんに「AVのようなエッチシーンを」とオーダーされたので(笑)、外でとか電話しながらとかにつながるようにお話を考えましたね。
きづき というか担当さんのリクエストは毎回ありましたね(笑)。そのいろんな無茶振をどうしたら叶えられるかと、考えるのは大変ですけど楽しかったですね。
ナンキ たとえば、4巻ではじめて栖佑さんの彼氏、大桑が登場しましたが、はじめは連載がどこまで続くか分からないので、まずは3巻で終われるようにと彼氏を出さずに作っていたんです。その先も続けていいとなったので、じゃあライバルを出そうとなって。そうしたら担当さんが「彼氏は年下がいい。大学生がいい」と言い出したんです。でも現在進行形で栖佑さんが大学生と付き合ってるというのは、これまでの展開や、テーマ的な部分との整合がつかなくて。そこで物語を過去編にすることを思いつきました。八日堂を放置しつつ(笑)、大学生と付き合う栖佑さんを描くということで決着しました。
きづき 設定では、栖佑さんの彼氏は同世代か年上のつもりだったのですが、担当さんがすごい譲らなくて(笑)。
ナンキ あれは困りましたね(笑)。でも結果的にすごくいい無茶振りだったと思います(笑)。
――それでは新シリーズではどうなって行くのでしょうか?
きづき なので今後も担当さんから色んなご提案があって、それで色々うまくいくといいなと…。
ナンキ そうですね(笑)。あとは1話1話の空気感を大事にしながら描いていきたいなと思っています。ずーっと見ていたいような永続する漫画を、それでいて飽きさせないように描くというのが目指すところです。
きづき その上で「結婚前の恋人同士の感じ」というのも出せたらなと。社会人だし、社内恋愛だし、というところのリアル感は出したいですね。
――『うそパラ』で好きなキャラクターは?
きづき 先ほども言いましたが、黒髪メガネですね(笑)。あと粘着質でしつこい感じの人が好きです。昔はメガネキャラを主役にしてはいけないというルール的なものがあったんですが、今はどうやらもうないので私としては色んな漫画を見ていても幸せな限りです。
ナンキ 僕は『バター猫のパラドクス』の主役の若芽ちゃんが好きです。可愛くて元気な感じのショートヘアが。あとは丸悦さんが、動きが面白くて好きです(笑)。描いてていつも面白いなあと。
――読者さんからの感想はどんなものが多かったですか?
ナンキ 前のシリーズだと「どっちとくっつくのか」とか、「ハッピーエンドじゃないと嫌だから最終話が出るまで読まない」とか(笑)。展開を楽しみにしてくださってる方と、八日堂か大桑かどちらとくっついてほしいかという感想ですね。
きづき あと「胸くそ」ですね(笑)。でも「胸くそ悪くなるのに読んでしまう」と言ってくれるのでよかったです(笑)。
ナンキ どっちとくっつくのかわからなかったり、そもそも八日堂が割り込んで奪おうとしてたり、栖佑さんがフラフラしてたり、という点が主にそのような感想につながるのかなと…(笑)。
きづき それから「昔に読んだときはいろいろムカムカしたけど、今読むとすごくよく分かります」みたいな、読むときの年齢とかで感想が変わるのは嬉しいですね。あとは漫画を読んで勇気をもらって自分も行動したらうまくいきましたとか(笑)。
――すごい!
ナンキ 「同じような経験をしたことがあるのでいろいろ思い出します」とか。
きづき 「私も二股かけてました」とか。
――続々と個人的な報告が(笑)。八日堂派と大桑派の比率はいかがでしたか?
きづき 難しいですね。結構、半々な感じがします。
――お二人にとって「エロい漫画」というのは、どういうものでしょうか?
きづき 先ほども言いましたが、エッチなシーンが感情を表現していることが大切なので、逆にエッチなシーンじゃないのに「なんかめっちゃエロい」と思う時もありますね。
ナンキ そうですね。感情や関係の比喩としての表現が上手くできているかによって、エロいかどうかが左右されるかなと思います。
きづき 手塚治虫先生の漫画が私のエロスのルーツです。目線の動きだけでもすごくエロかったり。特に『アポロの歌』が私のド性癖で、今だと内容的に厳しいかも知れませんが、すごくエロいと思います。
ナンキ 『火の鳥 未来編』なんかでも「試験管の外に出られない女の子」に向かって、俺のものになれ!って揺すって脅すシーンがあるんですが、お互い全く触れないんですけど、すごくエロいんですよ。接触がなくてもエロく感じさせることができるという代表例ですね。
――では最後に『うそパラ』ファンの皆様へメッセージを!
きづき 新シリーズはもう「胸くそ」じゃないので(笑)、ぜひ読んでください!
ナンキ 新しいお話として読んでいただけるように頑張るので、ぜひ一度読んでもらえましたら。そしてもし八日堂や栖佑さん達のこれまでを知りたいと思ってもらえたら『うそパラ』『バター猫』も読んでもらえたら嬉しいです。
きづき先生、ナンキ先生、ありがとうございました!
インタビュー第4弾もどうぞお楽しみに。
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